コラム:パチンコ店経営を考えるポイント

商圏について(1)

前回のコラムでは「動線」について少し触れたわけですが、それにちなんで今回は「商圏」についてお話したいと思います。

実は私が気になっていることなんですが、多くの店舗がこの商圏を実にいい加減に考えているという現状があります。自分の店の商圏と言うと、ほとんどの人が店から近いからとか、その程度の理由で商圏を考えているよです。

しかしこれは、明らかに違います。

商圏を考える必要があるのは、チラシの配布場所やイベントの設定の仕方に大きく影響が出てくるからなのですが、これをきちんと考えていないお店が非常に多いように思えます。

例えば新台入替を行なう際に、チラシを配布しますよね?そのチラシをどの地域に対して配布するのかというのが、商圏の利用の仕方のひとつなんですが、商圏の考え方がしっかりしていないと、非常に的外れな配布をしてしまいます。

以前私が設定した商圏範囲の新聞折込先が1万件であるにもかかわらず、これを無視した店長がいました。

この店長からすれば、出来るだけお客様を多く呼びたいので、より広範囲に折り込み広告を配布したかったのでしょう。私に内緒で2万件の配布を行ないました。そして変わらぬ結果に不満を持った店長は、さらに内緒で3万件、4万件、5万件と配布量を増やしていきます。

結局のところ、5万件配布したところで私が指定した1万件のチラシ配布と集客効果は全く変わりませんでした。変わったのは、無駄な宣伝費用の増加だけです。

いくらたくさん集客したいからといっても、闇雲に商圏を超えたところで宣伝活動を行なっても、効果はありません。仮にあったとしてもそれは一時的な効果であって、通常営業に戻った途端に元の鞘に戻るのが落ちです。

また店から比較的近いからといって、そこを商圏に設定しているケースがあります。

しかしながら、その考え方が必ずしも正解とはいえない場合があるのです。というのも、物理的距離の近さが必ずしも商圏とは一致しないという事実があるからです。

ちょっと想像してみてください。あなたは昼間、自宅にいて喉が渇いたので、ジュースを買いに行こうと思います。道路を挟んですぐ向かいにはジュースの自動販売機があります。それ以外に近くでジュースを買えるところといえば、自宅を出て左に歩き、200メートル先にある自動販売機しかありません。

あなたは、どちらの自動販売機でジュースを買いますか?

恐らくこの答えは、二つに分かれるはずです。道路挟んで向かいの自動販売機で買うと答えた人は、その想像した道路がきっと狭い道路だったのでしょう。逆に自宅を出て200メートル先にある自動販売機で買うと答えた人は、自宅の前にある道路が広くて交通量の激しい、しかも横断歩道や歩道橋すら目の前にないという情景を思い浮かべたのではないでしょうか。

お客様の来店要因のひとつに「距離」がありますが、その場合の距離とは物理的距離ではなく心理的距離に起因します。

物理的に言えば、広い道路でも200メートル以上の道路は普通ありません。向かいにある自動販売機のほうが近いはずです。

しかしながら、その道路の状況によっては、その道路が心理的な「壁」になってしまう場合があるのです。下の図を見てください。

 

参考図02

 

目の前の道路が広く交通量が激しい場合、この様な状況下では、向かいの自動販売機まで行くには横断歩道を渡らなければなりません。しかしそうなると逆に遠回りせねばならず、Uターン行動は、心理的に距離を遠くしてしまいます。心理的距離からすると、200メートル先にある自動販売機Bの方が向かいの自動販売機Aよりも近くなるのです。

この場合、自動販売機Aからはこの家は商圏に含まれず、自動販売機Bの商圏に含まれる事になるわけです。

これはほんの一例ですが、現実には様々な要因が、物理的要因とは関係なしに心理的障壁となって、あなたのお店を遠く行きづらく感じさせているものです。

物理的距離が近いからといって実際は商圏にはならないケースもあると言うことを頭に入れておいてください。

(次回コラムに続く)

2004年8月13日

ホール運営研究会
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