コラム:パチンコ店経営を考えるポイント

ポケットティッシュ

お店の宣伝活動のため、路上でチラシやポケットティッシュを配っているのをよく見かけます。パチンコ・スロット店においても、一昔前に比べるとこのような活動が多くなってきているようです。

どちらかと言えばチラシよりも、ポケットティッシュを配るお店が多いのではないでしょうか。受け取ってもらえる確率や、受け取ってから持ち歩いてもらえる確率からしても、単なるチラシを配るよりポケットティッシュに小さなチラシを入れて配るほうが効果的です。

ではなぜお店は、ポケットティッシュやチラシを路上で配るのでしょうか?冒頭で「宣伝のため」と言いましたが、単なる宣伝であれば路上で配るだけでなく、ポスティングという方法もあります。

路上でのチラシ・ポケットティッシュ配りには、それなりの理由があって行なわれているはずです。そしてそれを行なうお店は、それを明確に意識して活動しなければいけません。

路上でポケットティッシュやチラシを配る目的は、

(1)自店舗を認知してもらうための活動
(2)衝動来店の誘発

の二つです。

(1)の自店舗を認知してもらうための活動というのは、誰でもわかっていることだと思います。あなたのお店がその地域にあることを認知してもらうための行動であり、また現在行なわれているイベント等の内容を知ってもらうための活動です。

ところが(2)の衝動来店に関しては、深く考えずに行動している店舗がまだまだ多いように思えます。

お店に来店するお客様には、そのお店を利用する目的でわざわざ足を運んでくれたお客様と、他の目的でその辺りに来たついでに来店したお客様がいます。

前者を目的来店と呼び、後者を衝動来店と呼びます。

要するに路上でのチラシ・ポケットティッシュ配りには、買い物や仕事の都合など別の理由でその地域に訪れた人たちに、「ついで」に来店してもらう狙いがあるのです。

ポケットティッシュやチラシを路上で配る理由のひとつに、衝動来店の誘発があると認識しているのであれば、自分のお店の前でそれらを配ってはいけません。

あなたのお店の前でチラシやポケットティッシュを配ってしまったら、衝動来店の誘発効果が減少してしまいます。

仮にあなたが洋服を買いにその地域を訪れたと想像してください。道を歩いているとチラシを渡されました。そのチラシを見てみると、どうやらAというパチンコ店のチラシです。

「へー、新台が入ったばっかりか。時間があればちょっと寄ってみようかな。」

そう思うかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。あなたは受け取ったチラシを読む間、立ち止まっていますか?

道を歩いている途中でチラシを渡された場合、立ち止まってそのチラシの内容を確認する人はあまりいません。ほとんどの人は、そのまま歩きながらチラシを見るはずです。

ということは、仮にあなたがそのチラシをA店の前で渡されたとしても、そのチラシを見終わってから顔を前に上げた時には、既にそのA店を通り過ぎているのです。

あなたは踵を返してA店に向かうでしょうか?

答えはNOですね。あなたがその地域に来た目的は、買い物のためだからです。

「帰りにでも寄ろうかな。」

仮にそう思ったとしましょう。しかし、買い物帰りにA店による可能性はどれだけあるでしょうか?

買い物が済み、手に荷物を抱えた状態でパチンコ店に入る確率は非常に少なくなります。荷物の量が増えれば増えるほど、寄り道をする確率は少なくなるでしょう。

さらに洋服を買うためにその地域を歩き回っているのであれば、帰りに再びその道を通るとは限りません。一本道の商店街であれば別ですが・・・・

この様に、衝動来店の誘発ということを深く考えずに店の前でチラシ配りをしてしまうと、そのチャンスを大きく逃してしまう結果に繋がります。

この場合、実店舗の入り口より手前でチラシやポケットティッシュを配る必要があります。具体的に言えば、お店から20秒程度離れた場所で配ることが理想です。

人がチラシを見てからその店に来店するかどうかの意思決定を行なうのに、およそ20秒程度の時間が必要であると言われています。つまり5秒や10秒程度では、その店に来店するかどうか決定する以前にその店を通り過ぎてしまいやすいのです。

さらにチラシの内容について意識が継続する時間もおよそ20秒程度です。これ以上時間が経過すればするほど、来店する気があったとしても忘れてしまったり、心変わりしやすくなってしまいます。

チラシやポケットティッシュを配る事によって衝動来店の誘発を最も高めたいのであれば、来店の意思決定をした直後に歩行者があなたの店舗に到着しているということが、理想的なのです。(もちろん、店舗の存在が20秒手前から視認できることが前提条件です。)

この状態であれば、歩行者がそのままその店に来店する可能性が高くなります。更にその時点では店に寄らずとも、チラシを読んだ後にその店の実物を見るというのは、刷り込み効果が働いて、その店の印象が深くなります。後からその店に寄る可能性が高くなるわけです。

ところがここでひとつ、厄介なことがあります。

冒頭で、チラシよりもポケットティッシュの方が、受け取ってもらえる確率や受け取ったまま持っていてもらえる確率が高くなるとお話しました。

それはそれで確かなのですが、実は受け取った直後にそのチラシの内容を見てもらえるのは、ただのチラシの方がポケットティッシュより確率的に高いのです。ポケットティッシュの場合は受け取った直後、そのまま何も見ずにポケットやかばんの中に入れてしまうことが非常に多いのです。

さてこれは困った・・・・・・

ポケットティッシュを受け取っても、直ぐにそのチラシの内容を見てもらえなければ、衝動来店の誘導は効果的に出来ません。

それでは一体どの様にしたらよいのでしょうか?

結局、チラシ配りにしてもポケットティッシュを配るにしても、実際に手渡す前にその配り手がパチンコ店の宣伝者であることを認知してもらう必要があります。

配り手は、お店のユニホームやオリジナルジャケットを着ましょう。きちんと声を出して、アピールしましょう。場合によっては立て看板やノボリも必要かもしれません。

パチンコやスロットというものは嗜好性の強い遊技です。

パチンコ店が何か宣伝していると気が付けば、パチンコ・スロットファンなら気になってチラシを受け取ってくれます。パチンコ店の宣伝だと気が付いてわざわざチラシを受け取ることを避ける人であれば、そもそも衝動来店の誘導は無理なのです。

「只今、イベント開催中です!」

と、一言添えてポケットティッシュを配りましょう。パチンコやスロットをやる人であれば、それをカバンにしまう前に気になってチラシに目を通すはずです。

まず第一段階でパチンコ・スロット店が何か宣伝活動を行なっていることを認識させます。第二段階でチラシやポケットティッシュによって、その宣伝の内容を告知します。そして第三段階で、実際の店舗の存在を相手の視覚で認知させ、来店の意思が決定した直後にあなたのお店に到着するようにします。

この3ステップで、単なるチラシ・ポケットティッシュ配りを効果的な衝動来店に結びつけることが必要になります。

この様に、チラシ・ポケットティッシュ配りひとつとってみても、その目的を明確にして活動するかしないかで、大きく効果が変わってきます。小さな活動ひとつでも、きちんとした仕組みを知って行動することが必要だということですね。

2004年6月25日

ホール運営研究会
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