コラム:パチンコ店経営を考えるポイント

本当は誰も知らない

「ここの業界は特殊だからねえ・・・」

どの業界の方も、自分のいる業界についてこのように語ります。確かにどの業界においてもその独自性というものがあり、他の業界と同じく比較するには難しいところがあります。

私のいるこのパチンコ業界というところも、負けず劣らず特殊な業界です。業界全体の特殊性については言い出したらきりがありませんが、そのホール経営に絞ってお話しても、それはそれは不思議なことばかりです。

例えば外食産業では様々な業態が存在します。ファミリーレストランに喫茶店、高級レストランに大衆食堂、ラーメン屋もあればイタリア料理店もあるし・・・・・

ファーストフードひとつとっても、それは既に一大産業で、先日話題となった牛丼屋からハンバーガーショップにたこ焼き屋・・・・挙げればきりがありませんね。

まあ、外食産業は規模が大きいので例えにしては大袈裟過ぎるかもしれませんが、そうでなくとも他の業界では、様々な業態に変革していったり、隣接する業態や業種の長所を参考にしながら、自由な発想で試行錯誤を続けて経営を行っています。

ところが、パチンコ業界のホール運営には、その市場規模とは裏腹に、多様な業態が存在しません。パチンコ業界に存在する「規制」という枠組みが、この業界の自由な発想を喚起するのを邪魔しているのかもしれませんね。

そもそもその規制によってパチンコ店は、その存在自体非常に曖昧で特殊な立場に立たされています。ギャンブルかと言えばそうでなく、それを否定するための方針が採られますし、では単なる娯楽施設かといえばそれも違って、顧客はパチンコやスロットで勝つことを望んで店に足を運びます。

ですから、「パチンコ店とは本当は一体何ものなのか、本当はどんな仕事なのか」ということを、そこで働く人たちやパチンコ店経営者ですら、実は全く知らないのです。知っているようで実は知らないのです。

え?そんなことはない?

では質問します。それではパチンコ店に隣接する業態とは何でしょうか?

同じギャンブルだから、競馬場ですか?
サービス業だから、デパートとかレストラン?
それともカジノ?

答えは全部違います。この事については、機会のある時にその辺の事情を詳しく説明しますが、実はこれらの事業はそれぞれ全てパチンコのホール経営とは本質的に全く別物なのです。

隣接する業態や事業がはっきりと良くわからないと言うことは、要するにパチンコ店そのものの存在が、「本当の意味で」誰も知らないということです。そしてその様な事情から、 パチンコ経営者が自社のホール運営のために他の業種を参考にしようとすると、失敗してしまいます。いや、失敗せずともあまり効果がなかったりするのです。

パチンコ店を運営する側としては、一見似たような業界から一見良さそうな部分を取り入れてみようと試みたりしますよね。例えば、ラスベガスのカジノとか。

ところが、カジノとパチンコ店とは事業としてのあり方、つまり根本的には全くの別物ですから、カジノの良さを取り入れようとしても、本質的な長所を参考にすらできず、結局は「店の内装がカジノのイメージ」だとか「店員もそれなりにカジノ風」程度にしかならないわけです。で、出店当初は話題になっても、しばらくすると顧客の反応が落ちてしまったり、逆に経費をかけ過ぎたせいか収益性が非常に悪かったり。

本来であれば、イメージの連結しやすいカジノを取り入れると言うのは、経営上有効な手段であるはずなのですが、パチンコ店においてはその存在の不明確さが実際の効果すら不明確にさせてしまっています。

まあ、別にこれはカジノに限った話ではなく、他業種を取り入れることが非常に難しいと言うほんの一例ですが、多かれ少なかれ現在のパチンコ店はそんな悲しい性を背負いながら、この厳しい経済社会の中を生き抜いているわけです。みんな一生懸命頭を悩ませながら働いているにもかかわらず・・・・・

この業界の特殊性は、あなたのお店の存在そのものをわからなくさせています。

私達の仕事ってなに?
パチンコ店とは一体どんな存在であるべきなの?

そんな問いかけをこの機会に一度、自分自身に向けて投げかけてみてはいかがでしょうか。

2004年2月26日

ホール運営研究会
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